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人生初だからって
✱マジ!マジでっ!なぁ〜!
……慶司・side
なにそれ?と言うほどの初耳な話を
響が聞いて驚き、動揺している頃……。
長瀬慶司は、父と兄と弟、兄の恋人と共に、親友国分の大きなワゴン車に揺られていた。
「もう……勘弁してくれよォ」
普段はと言うか、職場では、入社するきっかけになった剣道部副主将・乾 祐也……。
早生まれの彼から見て、七歳歳上の男の実にCOOLな立ち振る舞い、表情等、大人の男を意識しているのだか……。
本来は、喜怒哀楽がはっきりしてる
とにかく笑顔が明るい男である
入社してから…先輩・乾の立ち振る舞い
コレぞ!大人の男!
意識に意識していたのに……。
その仮面をあっさり剥がしたのは、恋人になりたてほやほやの『山口 響』である。
いや正確には、去年の秋、既にその名を聞いた時からその仮面を剥がされていたのである。
「勘弁してくれよォ…」
などと言うのは、彼は、車内にいる者に
『人生初の恋人っ!』
なんとも言えない甘い響き……。
それは、中学生で出会った剣道にハマり、現在まで一心不乱に修行重ねていたこの男にはまず考えられないのだから……愉快だ。
だから面白がるのである。
さらに、去年の夏剣道部の通過儀礼で、人生初の性的体験をした。
その誘いをかけたのは、副主将・乾の同期にて、慶司の今いる部署の上司の山本良平。
見た目は逞しく頼りになる男なのだが、中学の頃から性的な事が好きな男である。
彼は、新人が入団すると……
「男になりにいくぞ!」
そう声をかけて贔屓の店に連れて行く。
同期の小泉、古畑は既に経験済みで恋人らしき人がいるのに……、
「せっかくの山本さんのお誘いだ」
「○○って言ったら高級ソープだろ?」
童貞装って参加したと聞く。
当時の慶司は、ずっと剣道に夢中だったが高校卒業後…入社・入団により、出会った先輩達や同期の男達からよく聞く、「ソープ」と言う風俗と「セックス」と言う、自慰よりも、ありえない程の気持ちイイ行為。
自分とは違う「女の身体」……未知の世界に興味持ち出した時だったので、あっさりと参加した。
しかし……、しかしだ……慶司の卒業は最悪すぎた。最悪過ぎて情けない。
「童貞なんて、嘘でしょ?本当は
すごい女の子と遊んでるでしょ?」
などと勝手に慶司に期待した風俗嬢。
実際したら本当に童貞で拍子抜けしてバカにしてくれたので、押し倒して「無駄にデカいだけの肉棒」と評されるモノを刺し続け、失神させた。
本来ならまずい行為。
その事で訴えられるはずだが、そこは山本の顔と「高級」が売りの店のプライドで収まった。
そもそも嬢が、客に快楽を求めきちんとサービスせず、期待通りではないからと客にたいして失礼すぎる態度取った。
その事で訴えられる事はなかったが、出禁となった。
その辺に関しては慶司は後悔もなんもしてない。
この一件で、
「ああいう事は…やたらにするものでは無い
本当に好きな人とするべきだ
ムラっときたら自分でシこりゃ良い」
なんて結論に至り、以後…合コンに参加せず
そちら目的の逆ナンにものらず、なにかを悟った様にひたすらに剣道に仕事に打ち込んだ。
…そんな事があったからこそ…
「女性不審になった」それを嘆き、慶司を心配していた父と兄と親友は、『恋人』と言う甘い存在出来た事を喜びつつも面白がるのである。
「マジで…勘弁してくれぇ」
などと言いつつも、慶司は内心喜んでるのだが。
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