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「はじまりはいつも雨」
そんな歌がある。
それをパロって
「はじまりは剣道と弁当」
そう、二人の出会いをこの女は言っている。
一方、この女の想い人・慶司は違うと言う。
響の情報は、スカウトが成功した時点から流れた。
「俺と同じ無名の高校で私立のお嬢様学校
主将や、副主将達先輩らの出身高校のずっと上の先輩の一人娘」
ーーーなんだと聞いた。
さらに当時、仕事と私生活でも、日頃お世話になっていた六期上の先輩。
剣道部副主将で、剣道部のエース
『乾祐也』からの
「あぁ……あの子か
目の大きな可愛い子」
普段、あまり頬を緩めることのないクールな
美丈夫な副主将の表情をみて
慶司は、20歳前の年頃の男らしく気になった。
クールな副主将があんな顔をみせるその新人選手。
秋季大会の日に来ると情報を入れ、
当日の試合の合間の昼休憩時間、さらに
『小柄でちっちゃい』と新たな情報を手に入れ、情報に当てはまる制服姿の女子高生を見つけ出した。
その勢いのまま高3の彼女にいきなり話しかけた。
さらに、彼女が食してた弁当。
そのおかずの中の唐揚げとエビフライ。
かっさらって食べるという暴挙に出たのは
「俺を覚えていてほしーから♪」
そんな理由。
もちろん、再び出会った時
お返しとして……、初稽古のあとに報復されたのは言うまでもない。
慶司の始まりは、クールな美丈夫が頬を緩めるほどの女の子がどんなものかと言う興味からだった。
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