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「あーしまった」
なんて響はため息をついた。
ため息の理由はただ一つ。
パンティーが履くに履けない状態だからだ。
お互いに気持ちを伝えあったあの夜。
キスだけで響は濡れていたらしく
脱がした時には既に愛液で濡れてしまっていた。
そんな事を忘れて、ベッドの周りに脱ぎ散らかした服の中からパンティーを探り見つけた時にはなんだかカピカピ。
こんなの履いたら、お股痛い……なんて
またため息をつく。
「困ったなぁ」
なんてため息の彼女に、慶司は
「着替えがあるだろ?車に」
そういった途端
「あっ!そうだ!」
パァァァと明るい笑顔になった。
響は、慶司の住む会社借り上げのマンション・『SakuraRIVER』の来客用に軽ワゴンを停めている。
停めている理由、それは8月12日月曜日迄に遡る。
彼女が地元の道場『桜乃鷹武道館』の8月10日から2泊3日の夏合宿に、1日遅れの8月11日の日曜日から参加していた。
8月12日、軽ワゴンで合宿参加した彼女は帰りは単独行動していて、たまたま立ち寄ったのが慶司が暮らす町のオアシスである銭湯・『春の湯』だ。
そこで偶然の再会をした。
夜も遅いから一度は自分ちに慶司は泊めようとしたが、この日は万が一欲望が抑えきれずにそれによって嫌われたら……そう思い
ふたり共通の大人な知人、『乾 祐也』の家へ。
慶司も一緒に、乾の家に泊まった。
彼女の軽ワゴンは乾の所の来客用に停めて、翌日13日、乾のパジェロで乾が参加するかつてのK高の剣道部の恩師が開いた剣道場・『龍雲館』へ稽古へ行き、その後、乾の思いつきで乾家御用達の箱根の高級旅館へ宿泊。
翌日、8月14日観光してまた乾の家へ。
そこで響の軽ワゴンに乗り換えて、再び
このマンション『SakuraRIVER』へ。
今日15日、お互いに決められた用事があるために先ず慶司が自分の荷物を取りに行くためで、荷物を取ってきたらそのまま彼女の運転で彼女の地元の途中の慶司の地元まで送って……という流れのはずだった※。
だけど、両片想いだったふたりは溢れる想いが抑えきれず……8月15日の今に至る。
(※前作・社会人の夏は様々で・5からラストまで参照してください。)
現在の時刻は、八時半を越え九時近く。
「高速道路使えばよゆー」なんてかました慶司だったが、ちょこっと急がなきゃならないぁと思い、ドア開け共用廊下見渡す。
隣の隣、ほぼ同期の松岡の部屋特にあの辺は注意した。
この会社借り上げのワンルームマンション
一般等級の独身男性社員が多く暮らしてるが
特にルールも無く、よく恋人やナンパなどで知り合った女を連れ込んでるようだ。
だから女と腕組んだ先輩とエレベーターで鉢合わせ!それは普通だ。
でも、さすがは夏休み。
出かけてる方が多数らしく、誰にも鉢合わせすることなく、慶司は来客駐車場の軽ワゴンから響の着替えの入ってるバッグを、持って来れたのだった。
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