異影 ~サイゴノシャシン~

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祖母が死んだ。 持病も多く患っていたから致し方なかったのかもしれないが、 正直言うと家族に散々迷惑をかけた祖母のことは あまり好きではなかった。 いや、 ヒトの最期なんて、そのヒトの『終わりの印象』でしかないのかもしれない。 もともと自分のメリットになることにしか興味がなく、 祖父が亡くなってからはさらにひどくなった。 罰が当たったのか、祖母は痴呆もひどくなり、 家族が誰かすらわからなくなった。 食事の介助も排泄も毎回面倒を見て、 誰が見舞いに来ても、返事こそあれど全く記憶には残らなかった。 もともと看護師をしていた母や姉が主に面倒を見ていたが、 わたしはそれすら煩わしく思えたし、 何を言っても無駄なのだと言う虚無感が家族を疲弊させた。 それが何年も何年も続いたのだ。 だから、亡くなったというより【死んだ】というイメージが強い。 やっとこの介護から解放される。 それは誰も口にしないが、暗黙の了解のようなものがあった。
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