弦月の夜

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私の右側で、ハルはちょっとそわそわした雰囲気で私の方を窺ったり外を見たりしている。 私は心の中に引っかかっているものを振り払って、 ハルに肩を寄せた。 すると、ハルは、前を向いたままで喋り始めた。 「あのさ、エミ」 「うん」 「僕はまだ会社も新人でさ」 「うん」 「正直ブラック企業で」 「うん」 「昨日今日の出張だって、上司が突然行くぞって言って名古屋まで連れてかれたんだ。ハードスケジュールすぎて死ぬかと思った」 「うん」 「それでも、早くエミに会いたくて会いたくて」 「.........」 この言葉、どこかで、聞いたことある。
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