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寒さと怖さとで、顎が震えた。
ハルは、少し考えてその意味がわかったようだった。
ハルが先に観覧車を降りて、私の手を取り支えてくれた。
それから、手を繋いで、ゆっくり階段を下る。
さっきと違って、
ハルの左手から直接温もりを感じた。
それがどうしようもなく愛しくて。
そのまま永遠に握り続けてすらいたかった。
その時、急に一層寒い風が吹いたかと思えば、雪が舞い始めた。
私たちは橋の上に立ち止まって、顔を見合せた。
運河を照らすオレンジ色の明かりと、
その周りを舞う美しい雪。
吐く息も、いつのまにか真っ白になっていた。
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