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「コーショクはお前か?」
「へえ、私が名代の好色一代男!コーショクでございます!」
「余計な自己紹介はいいから隣の者を紹介しろ!」
「へえ、この者めが世にも珍しい布を織るというターラーでございます。」
「そうか、では、今からターラーに織らせてみよ。」
「いや、あの、大臣様、今、材料を切らしていまして・・・」
「じゃあ、今直ぐ仕入れて来い。」
「それがですねえ、材料の絹と糸というのが非常に高価でして買えないのでございます。」
「そんなに高いのか?」
「へえ・・・」
「幾らする?」
「5百万エンでございます。」
「ご、5百万!それは高い!」
「でございましょ・・・」
「まあ、女王様にとっては端金だからわしが訳を言えば、今度来る大臣に訳なく持たすだろうから、その時はターラーに織らせるのだぞ。」
「へえ、承知いたしました。」
「で、商品の織った布はあるか?」
「へえ、ございますとも。」
「じゃあ、見せてみよ。」
「へえ、これにてございます。」
コーショクの差し出した両掌には何もなかったが、見えなければ馬鹿ということになるから大臣は見えるふりをして、「ほう、確かにこれは素晴らしい色と模様であるな。」
「左様でございます。流石、大臣様、見る目がたこうございます。」
「うむ、うむ。」
キエラ大臣は上機嫌で城へ帰って行き、マリー女王に布のことを褒めちぎって復命するのだった。
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