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「隣国の姫ですか」
母妃が示した肖像画の中の娘は豪奢なドレスも特徴に乏しい顔立ちも表情のない顔つきもまるで人形のようだ。
「あなたの肖像画を先に送ったら、是非ともと向こうからも寄越したのよ」
先方に送られた自分の肖像画もこんな風に立派な衣装を着せた人形のように描かれているのだろうか。
「そうですか」
会ったことのない隣国の姫にとっての自分もきっと「是非とも一緒になりたい相手」ではなく「周囲が是非ともと勧めてきた候補」でしかないだろう。
胸の奥をまたうそ寒い風が吹き抜ける。
何か言いたげな母妃を振り切るように立ち上がった。
「私としてはもう少し考えてみます」
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