ガラスの靴

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 ***** 「近頃は冷えるな」  暖炉に近い方のソファに腰掛けた父は苦笑いする。 「儂くらいの年配になるとすぐ体の節々に来てしまう」  ランプに照らし出された面は涙袋や頬の弛みが昼間の陽の下で見るより際立って老人そのものに映った。  父王の髪はまだ豊かで白髪も少ない方だが、風貌全体としては七年前に七十歳で亡くなった祖父の先王そっくりで年配も大差なく見える。  もともと父と祖父の親子で面差しは似ていたのだが、年を取ると若い頃は似ていなかった部分も老化で磨り減って余計に似通って来たように思う。  自分は母に似ていると言われることも多いが、三十年もすればやはり今の父そっくりになるのだろうか。  そう思うと、また気が少し沈む。 「だが、若い時のように無茶はしなくなるから大きな怪我や不意の病はだいぶ避けられるのさ」  父はカラカラと笑った。
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