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my法典
俺はいつものように手袋をはめ、手慣れた手つきで写真をプリントした。
今の時代、写真は誰でも簡単に、それこそ場所を問わずプリントアウト出来る時代だ。
写真を確認した俺は、ペンを取りだし写真の裏に文字を書く。
そして、後はその写真を気づかれぬよう相手に渡すだけ。
ただ、気をつけなければいけないのは、気づかれてはいけないが、気づかれないのもまた困る。
?となったかな?
分かりにくくてすまない。正確に言うと、写真を渡す相手に俺の存在は気づかれてはいけないが、写真の存在には気づいてもらわなければいけない。
なんでそんな回りくどいやり方をするのか?
それこそなんの写真を撮っているのか?
それは、その、、、
おっと、そんなことをしている間に、あの子が行ってしまう。
俺は急いで、その子に近づいた。
そして、その子の足元付近に先程プリントした写真をサッと投げ捨てる。
後はその子との距離をある程度もち、もう大丈夫だろうと言う場所から成り行きを見守った。
どうやら今回は上手くいったよう。
その子は写真に気づきいたようで、写真を拾って見るなり近くの駅員に声をかけている。
後は駅員、若しくは警察がなんとかしてくれるだろう。
けれども、毎回これが成功しても俺は両手を挙げて喜ぶことは出来なかった。
何故なら、それには必ず被害者が伴うからだ。
今回だってそうだ。
一人の女子高生が被害にあってしまった。
自らの欲望を満たすための外道。
そんな外道には、目には目を、歯には歯を。
そして、盗撮には盗撮を。
自らの罪を懺悔するかの如く。俺は、岩崎真という名の罪人は、今日もまた同じ外道の罪を暴いていく。
俺の目には、今正に罪を暴かれた、30代半ばのサラリーマン男が駅員に連れていかれていた。
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