1人が本棚に入れています
本棚に追加
驚きの連続
女子大生風の子は、店内を見回すと店の中心付近の席に座った。
その正面には先程から、コーヒーを飲みながら本を読む男が。
一つ断っておくが、俺は誰かれかまわず人を疑っているわけではない。
そしてもう一つ、これは避難を浴びる言い方だと分かった上で言うが、女性の身なりが危険を自ら呼び寄せていることは否めない。
今入ってきた彼女は、後者による危険があった。
短めのスカート、胸が強調されるピタッとした服。
既にツーストライク。
「あ、あの。すみません」
弱弱しい声でおどおどした感じ。
スリーストライク。アウト。
その人の個性は誰にも否定することは出来ない。
だから、彼女が悪い訳ではない。
けれども、彼女のそのどれをとっても危険。赤信号点滅が俺には見える。
彼女の正面に座る男に今一度目をやる。
すると、本を読むその目は、チラチラと胸や足に視線を泳がせていた。
ただ、それだけは俺にしてもどうすることも出来ないことであり、同じ男であれば致し方ないことであるようにも思え、後はその場の流れを観察することにした。
それから30分ほど経った頃、男が席を発った。
それから10分後、彼女もお会計を済ませ店を出る。
俺の中でピンっと張った糸は緩まり、俺も店を出ることにした。
店を出た後は、街をグルっと見回り家に戻る事にする。
電車に揺られ、外を流れる景色を見ながらも、車内をなんとなく観察した。
その時、目の端に入った人物に目が止まる。
それは、先程喫茶店で見た女子大生風の子だ。
周りはほとんどスマホに目をやる中、その子は俺と同じように外の風景を眺めていた。
一駅、また一駅と人が降りていく中、彼女はずっと外を見ている。
そして、気づけば俺が降りる駅に着いていた。
駅に着き降りた時、俺は驚いた。
何故ならば、彼女も同じ駅で降りたのだ。
あまり利用者が多いとは言えないこの駅。
何年もこの駅を利用しているが、彼女を見た記憶がなかった。
まぁ、それはたまたま見たことがなかっただけかもしれないし、見たことはあるけれども忘れているだけなのかもしれない。
俺はそう思い、改札に向かった。
けれども、驚きは続く。
改札を出た後も、彼女は俺と同じ方向に歩くのだ。
歩けども、歩けども、数メートル後ろを歩く彼女。
そして、とうとう俺が住むアパートの前まで来てしまった。
驚きはあったものの、偶然に違いないと思い、俺は部屋に向かった。
しかし、次の瞬間、
「あ、あの、すみません」
振り返ると、こちらを見つめる彼女が。
最初のコメントを投稿しよう!