黒薔薇の花束

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いつもの待ち合わせの公園に行くと彼はどこか緊張した様子だった。 たぶんみんなもう言わなくてもわかるよね? そうです、プロポーズされました! 「⋯という事で私、来月には寿退社するから」 「先輩⋯急すぎます⋯」 少し呆れた様子でナナは私の方に向いて言った。 「引っ越しとかいろいろしなくちゃいけないのよ」 「それでも急すぎませんか?」 「彼の実家で彼の両親と同居するんだけど、ここから遠いから⋯だから早めにしようと思って」 「それでですか」 どうやら彼女は納得したようだ。 「でもいびられないように気おつけてくださいね?せっかく虹が出たのにまた雲に隠れたら意味がないんですから⋯」 「そこは大丈夫だよ!前にあったけどすごく良い人だったし」 「猫被ってなければですけどね」 「ネガティブ思考だね〜ナナは」 最近になってナナの言っていた虹の意味がわかった。 あの時ナナは(悲しいこと)が降った後は(良いこと)があるって言いたかったのだろう。 やっぱり私にとってわざわざ遠回しにいう必要があるとは思えないけど、彼女なりの言い方だと思えばそんなに気にならなかった
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