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「——おい、お前が転校生か。」
ん?待て。なんだこの違和感。
犬のように走ってくる転校生の後ろからドドドと凄まじいオーラを出しているアイツは誰だ。
赤い髪…絶対ワックスかけてる髪型…。
確か、生徒会メンバーの一員で真ん中にいた…。
「ん?どうしたんだよ?えっと、誰だお前。」
「ふっ…こんなみずぼらしい奴がこの学園に来るとはな。まあ、だが歓迎しようではないか。
この学園を代表してな!」
ああああぁぁぁぁ…会長さまだぁアレぇ…
転校生、尚更こっち来るな。お前一人ならまあギリギリ話くらいできるかもとか思ったが‼︎
大祥の方を見ると大祥はなぜかキラキラした目で会長と転校生の方を見守っていた。
そう、子供のような無垢な、プレゼントを楽しみにするような…期待するような目…。
えー…何こいつぅ…こわぁい…。
…飯食べてさっさと食堂から出よう。
「お前!何なんだよ!みずぼらしいとか!失礼じゃないのか‼︎」
人に指さすのも失礼なのではないか、ブーメラン。
てか、歓迎されてるじゃんか。
オレ、一応平民なこともあって周りから口だけのゲスやらクズやら言われてたけど、顔ちょっと見せたらそれも止んだぞ。
お前、素顔いい方なんだから隠すなよ。
てかその変装は割と引くと思う。誰でも一度はびっくりする。
「ふ…この俺に歯向かうとはますます…」
……よぉし、無視!
なんかもう色々で味がしない白飯を口へ永遠に運びながら、転校生らに背を向ける。
ごはん食べよう。
ヘッドホンつけて雑音をシャットダウン。
ここはごはんを食べる場所だからな。
こんな煩いのに食堂に流れるクラシック音楽って役に立ってるのかね。
しばらく虚無で口に物を入れて咀嚼する行為を繰り返し繰り返し、ただ一点を見つめる。
あー、白米うめぇー。
ただ、オレはこの後後悔することになる。
鼓膜を、気分を、不快にさせた方が千倍マシであったと。
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