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冷や汗をかきながら冷静を装い、現状打破を考えながら、静かに横髪を顔にかけて変装する。
そっとメガネを取り出してスチャッと着用。
よかった、今日は字が小さい斎藤の授業があったのだ。
深呼吸しろ。
ここで慌てるのはいけない。実によくない。
ふぅ、と息を吐いて表情筋に力を入れる。
怖がるな。まだ怖がる時間じゃない。
オレは立ち上がってからくるり、と振り返る。
———後ろには鬼がいた。
ものっそい青筋が、オレがどれだけ長い間無視したのかの事実を突きつけてくる。
…いや、そりゃあ腹立つよな…。
流石にオレも今回は悪かった…、と後ろの鬼ににこやかに微笑む。
「…すみません。会長様にお声をかけて頂いていたとは気づきませんでした。私のような者にご興味を示してくださったこと、ここで感謝し、共に謝罪いたします。」
「…ふん、貴様、名は何というか。」
「私…ですか?いえ、名乗るほどの者では…」
「いいから言え。」
命令かよ。
えー…何?聴きたいの…やだぁ…
あ、そうだ。
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