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「どうしたのさ、会長に感謝しな?」
「会長は本当に優しい方…」
「おい!人の物壊すとか最低だぞ‼︎」
目の前のモジャモジャ頭が、男に指をさして説教を始めようとする。
「何黙ってんの?アイツ…」
「感謝も言わないとかありえないんですけど‼︎」
「本当クズだよな!」
周りの声にぷっちーんと頭の中で何かが切れた。
いや、周りの声?違う。雑音だ。
黙って壊れたヘッドホンの部品を集める。
ふと、丁寧にそれを集める手が視界に見える。
「宵…。」
心配そうな大祥の声。
「大丈夫だ。」
「…でも…」
不安そうな、悲しそうな顔。
お前がそんな顔してんじゃねえよ。
…けど、まあサンキューな。
お前が代わりに悲しそうな顔してくれたから、
オレは少し気取った態度で、不敵に笑ってやった。
「忘れたかよ?"私"はクズなんだぜ?」
破片をテーブルに置いて、ゆっくりと立ち上がる。
「少しばかり、教育したりますか。」
そのまま立ち去ろうとする生徒会と、ざわついた空気にオレは一言、啖呵を切った。
「流石、恐れ入ったよ。バ会長サマ。」
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