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…風の吹き抜る屋上はやけに涼しかった。
あのまま教室に戻る気にもなれず、人気のない場所へふらふらと移動していたら、いつのまにかこんな所まで来てしまっていた。
いや、それよりも
(やっちまったなぁぁ…)
よりにもよって、教師より権力が強いという謎の補正持ちの生徒会…しかも会長から喧嘩を買ってしまったような気がする。いや、売った。絶対あれは売られた喧嘩を売り返した。
転校…?無理…!あ、帰りにちゃんと靴持ち帰らないと水びたしにされるか?確か親衛隊とか居たよな…うわぁ死亡フラグ…。
てかさっき、殴られた頰が無茶苦茶痛いんだが…⁉︎
「……。」
手に持っていた無残なヘッドホンを見つめて、床に置く。これ、直せるんだろうか。
視界が何やら鬱陶しいことが気がかりになり、
ああ、そうだ、変装したままだった。と思い出す。
メガネを外すと、レンズに映る青ざめた自分の顔が見えた。
うわひっでぇ顔w
…オレの目は少し他人とは変わっていて、光が入ると灰色の目に青が薄らと覗き込むらしい。
変装していなくては、この目の色ですぐに正体は分かるだろう。
あのモジャ男みたいな格好するか?いやいや無理だろアレはww
「…名前も知られちまったし、もう開き直るか。」
変に誤魔化しているのも面倒だし、嫌われたり陰口なんぞ痛くもかゆくもない。
"予測できるもの"は、怖くない。
ぶん殴られるのは"予想できる"。
だから、殴られるのも怖くない。
わざわざビクビクしてやるもんか。
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