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「おはよう、って…大丈夫か?」
「大丈夫ならこんなに息切れしとらんわ…」
玄関で会ったのはオレと高1からの友人
"飯塚大祥"だった。
「で?クラス分け、どうだったんだ?」
「安心しろ。俺と同じだ!」
「……この世に神はいない。」
「お前それどういう意味だよ⁉︎」
「そのままの意味だわ。…まあ見知った顔がいて良かったっちゃ良かったけどな。」
「お前な…そんなんだからいつまで経っても友達できないんだぞ?俺以外に。」
「いーんだよ。つーかオレはお前がオレを友達だと思ってることが驚きなんだが。」
「友達じゃない?…親友?」
「ルームメイトかつ同室。以上。」
「隣の席同士も忘れるなよ?」
「それはルームメイトってだけでいいだろ。」
「冷徹!下劣!最低!」
「おうおうなんとでも言え。」
「童貞!」
「それはお前だろ。」
オレには友達と呼べる奴がほとんどいない。
居るとしても大祥くらいだ。だが、それでいい。
オレはクズだからだ。
オレの考えは多分、世間からすれば褒められたものではない。
『見た目だけ良し・口だけは良し・人間の中のクズ』
言われ慣れた言葉は痛くも痒くも無い。
というか事実なんだよな。
怖い奴は怖いし、気持ち悪い奴は気持ち悪い。
事実が感情になるのを抑えられる訳もない。
だからオレはクズだからクズと言われても気になる
ことはない。
そも自覚があるだけマシだろう。
それを理解できる人間なんてほとんど居ない。
大祥はオレの考えを何となく分かっている奴なのだ
から、本当に良い友人だ。
共感はできなくとも、理解をしようと努力するのは
中々出来ることではない。
その面では大祥はかなりの人格者なのだと思う。
…まあ、口に出す機会などほとんど無いが。
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