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「ふぁああ…」
大きめなあくびをして校庭の木の陰からちらりと顔を出した頃には、校庭はもぬけの殻であった。
去年はここから一歩も動かず30分経過し、トイレに立ってからあとはトイレに引きこもり、逃げ切ったものだ。
さて。今年も同じようにーー
「みーつけた」
「…っヒェッ…」
ねっとりとしたボイスに全身にサブイボが立つ。
この…この声は…
「だめだよぉ?
行事にはちゃぁんと参加しなきゃ☆」
チャラ男じゃないですかーーやだーー!
「あ、は?な、いつのまに…」
「え?えーとねぇ、この行事始まった時かな?よいよいのこと見てたんだよ〜?」
こ、怖えぇぇ…((((;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル…
「…で、肝心のお前さんは行事に参加しないんですか?」
「え?してるよぉ?今こうして獲物が目の前にいるしぃ…」
…⁉︎
ま、まさか、オレの包帯作戦が…バレてやがる…⁉︎
思わず左頬がヒクリと引きつる。
「…生徒会はどちらでもいいんだよ。つ、ま、り、今ここでよいよいを捕まえてもいいってこと…☆
けど、俺、狼は捕まえない主義なんだよなぁ〜」
「は…、…?」
「よいよいが羊だったらちゃあんと仕留めに…じゃなくて捕まえに行くのに…ねぇ?」
ニヤリといやらしい笑みを浮かべるチャラ男。
こちらに伸ばしてきた手を避けるように後ずさる。ここで触れられれば、公認カップル完成だ。
狼は狙わないんじゃなかったのか。
「えぇー?仲良くしよーよ〜」
「だが断る。こっち来んな、ついてくるな。」
「え〜…釣れないなぁ。でも、やっぱ面白いねぇ☆よいよいって。もうイベントとか関係なく、今ここで可愛がってあげよっか?」
あぁ⁉︎もうだからそう簡単に貞操を狙うな‼︎
なんなの⁉︎ここの奴らって下半身ユル男しかいないの⁉︎ゆるキャラなの⁉︎
「わかった、分かったから…!参加すればいいんだろ…」
「うん☆聞き分けのいい子はだぁいすきだよ」
「腰に手を回そうとすんな。」
「えぇ〜」
触られれば終わり。
このままだとリスクも高くなる。
仕方ない、トイレに篭ろう。
「あっ!よいよい〜‼︎置いてかないでよ〜」
「だからついてくんなって言ってんだろぉおおおおお⁉︎」
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