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「隣の席か?」
「そうじゃねぇの?」
大祥とは1年から席が殆ど離れたことがない。
何の縁か、席はいつも左右違えど隣同士になる。
今回もそうだろうかと思い、わらわらと人の集まる席順の書かれた黒板へと走る。
どうしてこんなに席順ごときで黒板に人が集まるかというと、恐らく理由はただ一つ。
ピク、と耳の良い大祥が肩を揺らしてオレを見る。
オレはコクリと頷くと、肩に下げていたヘッドホン
を耳につける。大祥はポケットから耳栓を取り出し
て嵌めた。
そしてその5秒後、それは現れた。
「ハロー☆かわい子ちゃんたち☆!」
「きゃあああああっ‼︎」
「伊月様ぁぁあああッ!」
絹を裂くような黄色い悲鳴。
言っていたか知らんが、ここは男子校だ。
男子校なのに女子並みの高音かつ雑音がキンキンと
響いている。
この悲鳴が聞こえるのは限られている。多分、今の
三日月だかなんだかとやらは生徒会の一員…なんだ
ろうな、多分。知らんけど。
なんか金髪なんだが、いいのか?こんなチャラ男が
生徒会員で。
うるせー…。
大量の高音発声器どもを壁にして、目立たないよ
うに黒板を見る。
「えっと、いつもの背後席か。隣は…」
ん?…珍しい、大祥はオレの前席か。
んで、オレの隣は…"光明寺 優希"?
なんか名前からして自己主張激しい奴だな…
てかこんな名前の奴、同級生にいたか?
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