2.決まりごとは守りましょう。

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「待って待って待って待ってくださいぃいいい‼︎‼︎ 俺を1人にしないでくれぇえええ‼︎」 「やめろ触るなペアになっちゃうだろ‼︎てかファンクラブあったんだなお前!いや、親衛隊?どうでもいいけどオレには関係ない話だよそでやれ!」 「お前!友達じゃないのかよぉおおお‼︎‼︎」 「それとこれとは話が別だ‼︎‼︎」 大祥とオレはカバディの姿勢になったまましばらく睨み合っていたが、押し寄せる足音に我に帰った。 「ックソ…背に腹は変えられんか…」 「宵…っ‼︎」 大祥が期待に満ちた目でこちらを見てくる! …全く仕方がない。 大祥をオレの後ろの曲がり角へと隠れさせる。 ドドドと形相を変えて走ってくるのは、皆、羊の印である赤い布を頭へつけている羊の集団だ。 真っ赤な羊たちが狼を狩りにやってくる。 食物連鎖の大革命である。 え?オレ?オレは頭に包帯巻いてるから一見狼に見えるんだよ、これが。 はいそこ、ズルとか言わない! 巻いていた包帯を外し、押し寄せてくる集団を真正面から見つめる。 「飯塚くぅぅううううん‼︎‼︎‼︎どこぉおおおお⁉︎」 …やってきたか… あまりの大群に口元が強張る。 だが、オレはすぅ…と息を吸ってビシッと教室の方を指して大声で叫んだ。 「あああーー‼︎⁉︎こんなところに会長様と副会長様がいる‼︎‼︎しかも邪魔者はいない! …いや、飯塚がいるよぉ‼︎このままじゃ3人ペアになるのかぁーーー⁉︎」 「な、なんですって⁉︎」 「そうはさせない‼︎」 「会長様がいるの⁉︎」 ざわざわ…ぎゃあぎゃあ。 大衆は光が屈折したように教室へとなだれ込んでいった。 …すげーw 教室内から叫び声が聞こえている限り、おそらく大祥が先ほど言っていたとおり、会長と副会長がいたのだろう。強く生きてほしいですね。 「宵…ありがとう…」 「いいからお前はさっさと人目のつかないとこに行け。…借りは返したかんな」 後はもう知らん。 大祥もダダダっと逃げて行き、オレはその逆方向へと走り出した。 西校舎に会長と副会長がいるんだから、それなら北校舎あたりが空いているだろうか。 …そんなことを考えて歩いていたオレはすっかり油断していたのかもしれない。
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