4723人が本棚に入れています
本棚に追加
ちびっ子を連れて教室のロッカーに隠れた。
心臓がドクドクと鳴り、汗がだらだらと流れ出す。
大袈裟かと思うだろうが、羊として…そしてオレとしての本能が「見つかってはいけない」と警報を鳴らしている。
「む…ぐ…な、なんでかくれるんですか…?」
「いいから…暗いの怖いのか?」
「こわくないです!」
「じゃあ静かにしててくれ…」
ちびっ子と体を密着させたまま、息を殺す。
すると低音ボイスの持ち主が教室へとご入室してきやがった。
そう…何を隠そう、会長サマである。
「お、お兄さまっ…」
「しー…静かにしてろ…」
「な、なんでですか…?」
「…お兄さんたち、今隠れんぼしてんの。」
「かくれんぼ…?かくれんぼ…!それはかくれなきゃですね!」
「そう。だから静かに、な?」
ちびっ子とコソコソ話しながら神経をすり減らす。
ついさっき、大祥のために会長たちを餌にしてしまったからな…バレてたら何されるか……
「気のせいか…?声がしたような…」
ひぇ…これ、クロ○クタワーみたいだな…
「ん…」
「っ…、こら…ちびっ子もぞもぞすんな…」
「すみません…せまくて…」
「まぁ仕方ねえけど…」
ーー「…あのクソ庶民め…餌にしよって…」
ヒェッ…⁉︎
唐突な独り言やめてくれませんかねぇ…カイチョーサマよ…
つかクソ庶民って…ヤベーじゃーんバレてるぅ…!
「ん…?これは…弁当か…?」
そうですね、弁当ですね!そっちに集中しろ!そしてオレのことは忘れろ!
「だが今日は……!…もしや大輔か…?」
大輔?…ああ、ちびっ子の名前か。
ちらりとちびっ子を見やるとちびっ子は名前を呼ばれて嬉々爛々としているご様子だった。
テンションが上がったのか無駄にキャッキャと抱きついて喜びを表現しだすため、余計に息苦しい。
「抱きつくなっての…!」
「す、すみません…」
とうのカイチョーサマに関しては感動してるのか、それとも弟くんが無事に帰れたかを心配してかキョロキョロと辺りを見回している。
最初のコメントを投稿しよう!