2.決まりごとは守りましょう。

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やがて意を決したように事務に向かうためなのかドアから出て廊下に足音を消していった。 ガタンッとロッカーの扉を思っきし開けると外の空気…酸素が肺に吸い込まれていく。開放感! 「っあ゙ー…息苦しかった‼︎」 「かくれんぼ…だいせいこうですね!天使さま!」 「だからオレは天使さまじゃなくてだな…」 …いや、待てよ。 この弟にオレの名前を訂正して教えたら会長に筒抜けになるのでは? かくれんぼ称してロッカーでの密室、幼い少年と閉じこもり2人きり…うんいけない。実にいけない。 ちびっ子を助けたとはいえこの状況は危ない。 …打破しよう! 「ちびっ子、実はオレ…本当に天使なんだ。」 唐突な馬鹿げた嘘をつく。 多分ちびっ子じゃなかったら失敗する…いや、このちびっ子も利口だし騙されないか…? 「!そ、そうなんですか⁉︎」 騙せたわ。 「でも、そのことを内緒でこの学園に入学してきたから…バレたらお空に帰らなきゃだめになる…。 だからこのことは秘密にしてくれないか?」 「このこと?」 「オレの名前と天使さまってことだ。 特にお前のお兄さんは生徒会長だからバレたらすぐに退学になる…」 「そ、そんな…」 「だから、今日こうして一緒にいたのは…」 何か偽名〜…偽名〜…田中でいいか。 「田中って男だ。いいな?」 「?てことは…天使さまはたなかいずもさん…?」 「ああ。だが、下の名前は天使の名前だから…田中って言ってくれ。」 「わかりました!お兄さまにはたなかさんとすごしたってほうこくしますです!」 はっはは!聞き分けのいい奴は好きだぜ〜? 内心ゲス笑をしつつ、ちびっ子の頭を撫でる。 「ああ、じゃあよろしくな。」 「あ、あの…えっと…」 「ん?」 途端にちびっ子がもじもじと手をもたつかせる。 なんだってんだ? 屈んで視線を合わせるとちびっ子が恥ずかしそうに小声で話し始めた。
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