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階段の先には屋上が広がっている。
本来、イベント中は鍵のかかっている筈のその場所はドアノブをひねると意外にもあっさりと開いた。
「……づがれ゙だ…」
日陰の白いタイルに寝転がる。
ひんやりしていて熱い体が冷やされていく。
流石に走りすぎた、ムッチャ息上がってる…。
ハァハァ言ってるのキモいなw
「…、はぁ、はぁ……あーーー……」
なんとなしに伸びをしてまだ冬服のブレザーを脱ぎ捨てる。
馬鹿みたいに走ったせいだろう。
体温も上がってるし、汗でべたべたとへばりついた前髪がうっとおしい。
タオルもないので腕で拭いとるとびしゃりと汗が腕について外気に晒されて逆に次は寒くなってきた。
「…っくしゅ……あーーー…」
ちなみにさっきからあーーーあーーと煩いのは何となく声を出しているだけで意味はない。
小さく聞こえる人々の声。
木の生い茂った森がたてる涼風の音。
鳥の囀り。
散ってしまった桜の花は微かに茶色くなっている。
だんだん眠くなってきた…、ちょっとだけ、寝ても誰もこんなとこ来ないだろう。
カイチョーにはモジャ男が居るだろうし。
ここ、本来立ち入り禁止だし。
まあ…オレなんか狙うモノズキなんてそうそういねぇだろうし。
憶測の理由をたらたらと頭で述べているのは、まあ正直に言うと眠いから眠気を正当化するためだ。
(……少し、だけ……)
目蓋が落ちる。
意識は微睡の中へと消えていった。
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