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いつか聞いた話だが、宵は声楽の実力を認められてこの学校に推薦入学してきたらしい。
"天使の歌声"やらなんやらかんやら言われ続けていたらしく、当本人は
「異名とかww厨二乙ww」などと笑っていた。
それほどなら聞いてみたいと思ったのだが、真顔で
「勘弁して」と懇願され、実際聞いたことはない。
「宵、もしかして人前で歌うの恥ずかしいの…?」
「いや、そういうわけじゃ、」
ならなんでここまで拒絶するんだろうか。
というかコイツが赤くなるなんて初めて見たかもしれない。
…珍しいモノ見たなぁ。というか…なんていうか…
「…た、大祥…、オレ、ちょっとトイレに…」
チョイチョイと俺の袖口を引き、宵は俯いたままヘルプの姿勢を示してくる。
…おいおい…宵さん…その姿勢は"受け"ですよ…
俺以外にやっていたのなら写真に納めたい光景だ。
同時にここまでヘルプされてるのなら、友人としてなんとか助けてやりたいな…と思う。
だがしかし、
「おい幽霊部員。お前も一応声楽部だろ。」
現実は無情。
俺の袖口を掴んでいた手は離されて、宵は声楽部の部員に引きずられていった。
「や、やだ…嫌だーーー!大祥ーー‼︎」
今生の別れみたいな叫び声で宵は攫われて行った。
…すまぬ、宵…。けど今のなんだかちょっとシチュレーション的に美味しかっ(
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