2.決まりごとは守りましょう。

35/36
前へ
/1000ページ
次へ
ステージ上で死にそうな顔をしているとパチリと会長サマと目があった。 …わー睨んでる…すげぇ睨んでるよー。 『それではエントリーナンバー1!』 そうこう言ってるうちに始まっちゃったよー。 だが、しかし。オレにかかればちょっと上手めな音痴を気取るのもなんてことないのだな! 次々と歌を披露する生徒たち。 あの高音やらイケボはどこからやってくるのか。 あの雲はなぜ私を待ってるの? 教えて、アルプスのモミの木よ。 ぽけーと馬鹿な顔を晒して順番待ちをする。 …早く終わってくれ…オレは帰りたい…。 あれ…この曲…なんだっけ…? ポテトサラダってポテトだっけサラダだっけ? あれ実質ポテトじゃね? サラダポテトが正しいんじゃね? ポテトはサラダ…サラダはポテト…ポテトハサラダ…ニャルラトホテプ… 「じゃあラスト!出雲宵くん!」 ハッ‼︎いつのまに…⁉︎ おちつけ。大丈夫。ちょっとチューニングずらして、ちょっと音外せばイケる。 よし、よしよし。イケそうな気がしてきたぞ! 流された曲は流行りの誰でも知っているJPOP。 爽やかな前奏が流れていく… じゃあ、やるぞ…すぅ…と息を吸ってオレはーー! ーー『待て‼︎‼︎』 「⁉︎っが、ごっふ⁉︎げほっげほっ!がほっぅ…‼︎」 突然の大声に盛大にむせた。 唾、器官に入っ…ちょマジ…苦しっ…おぇぇ…っ‼︎ 声の正体を睨みつけるように探すと、その姿は誰かすぐに知ることができた。 バカイチョーサマじゃないかーー! 「ふっ…そいつがまともに歌えるとは思わん。雑音に決まっている。よってコイツは切り捨てだ。」 会場がざわつく。だが、批判の声はない。 「そーだよねー」の一帯の空気だ。 ある意味助かったが、コイツらの庶民差別は簡単には治らないんだな…と実感した。 とりあえずマイクのスイッチを切って司会に渡す。 じゃあオレ帰るな!と踵を返そうとする…が、
/1000ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4725人が本棚に入れています
本棚に追加