4725人が本棚に入れています
本棚に追加
大祥は肩を下げたまま冷蔵庫の前から動かない。
お人好しのコイツのことだし、平気だとか言っても良心が痛むのだろう。
「…あー…じゃあ、一つ頼み事がしたい。」
「え…?」
「あの傲慢不遜なカイチョーサマのことだ。
スケジュールこっちに投げやりにする可能性も高い。よって、お前には貴族が満足する庶民のお出かけコースを作成してほしい!」
「デートコースを…俺に…?」
デートって(
「そうだ、どうだ?結構な無茶難題だろ。」
「難易度EXだよ…でも…ああ!任せろ!ちゃんとしたデートコース、作ってやるよ!」
自信を取り戻したように冷蔵庫前から立ち上がる大祥。どうやら立ち直ったらしい。
「じゃあ食べようか!」
「ああ。…っと飲み物〜冷蔵庫の中に麦茶あったろ。取ってくれ。」
「オッケー!…けど宵、デートでは麦茶飲むのは控えた方がいいよ?なんかじいちゃんみたいで…」
元の調子を取り戻した大祥は説教臭い言葉を並べながらコップに麦茶を注ぐ。
そんな大祥に、
オレはフッと笑って一言、言ってやった。
「デートって言うな。」
最初のコメントを投稿しよう!