3.鳩が鳴いたら馬鹿は笑うか。

9/28
前へ
/1000ページ
次へ
オレを抜きにしてわちゃわちゃ盛り上がる恋バナ。 勉強で頭を使った後にこれはキツイ。 チャーハンラーメンセットの後にカツカレー!並みにキツイ。 …とりあえず、影薄くして机に伏して寝てよ。 「ねぇねぇ!よいよいはどんなデートがしたい?」 「…なんでオレ…。」 「だって、宵って彼女居たんだろ?一回だけだけど。なら参考になるかな〜って」 「覚えてねぇよ…そんな昔からの事…。つか恋愛経験ならチャラ男と爽やかくんの方が上だろ…」 「もう!ちゃんと名前で呼んでよ〜!雷人だよ!」 「爽やかくんって…もしかして僕?」 「てかよいよい彼女居たんだ〜!意外!」 「どういう意味だコラ」 「だって〜経験なさそうだし〜」 「あ…うん。分かるかも…。根は純粋で純情そうだな〜とは思ってた…」 「お前ら好き勝手いいやがって…」 「で?どんなデートしてたんだ?」 「…デートねぇ…」 記憶の片隅に残る少女の後ろ姿。 照れながら手を繋いで笑い合った。 よく行った場所はどこだったか。 キラキラして、青くて、綺麗な、箱庭。 その手はとても、あたたかくて。 「宵?」 「…なんだよ?」 「いや…気のせいか。顔色悪かった気がして…それでそこでいいのか?」 「そこって?」 「"水族館"」 「っ⁉︎」 口に出てたのか… 「水族館?水族館ってなんだ?」 「魚がたくさん入った水槽があって、それから一番活きの良いのを捌いてもらうやつ?」 「殺伐としすぎだろ嫌だわそんな水族館。」 どうやら水族館は庶民の嗜みらしい。
/1000ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4725人が本棚に入れています
本棚に追加