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ただ、その途中で足をかけられてそいつは転んだ。
…子供かよその嫌がらせ。
てかコイツも避けろよ。
それでもそいつはオレから目を逸らさずにオレの隣へと着席して身を乗り出して早口でまくし立てる。
「やっぱり!朝は世話になったな‼︎お陰で傷治ったてかお前、あのまま行っちまったからもう会えないかと思ったんだぞ、あ、そうだ怪我ないか?」
【感想】
肺活量すごい。
とりあえず他人のフリしとこう。
前の席の大祥が肩を揺らしてルンルンしているが、それもとりあえず置いておく。
「誰だお前。」
「覚えてないのか⁉︎朝会っただろ‼︎あ!そうだこれ見てもらえば…‼︎‼︎」
何だ?絆創膏か?
転校生がポケットから出したのは…
……オレの財布じゃん⁉︎
「おま…オレの財布返せ‼︎このスリ野郎‼︎」
「なっ!やっぱお前だったんじゃんか!スリとか言うなよ‼︎拾ってやったんだぞ!」
「ウルサイデ〜ス〜!さっさと返しやがれ‼︎」
「お、お前!人の物そうやってバクってとっちゃいけないんだぞ‼︎」
「小学生か。人のじゃなくオレの財布だし。落とし物は交番にと習わなかったのか!」
「お前…朝となんか雰囲気違わないか?」
「そうかよ!…それより席につけ。周りの視線が弁慶もびっくりなくらい刺さってるんだよ。」
さっきからクラスメイトの視線がジロジロと舐めるように見てくるのが耐えきれない。
担任に至ってはさっさとしろと睨んでくる。
やめろ、オレは無罪だ。
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