3.鳩が鳴いたら馬鹿は笑うか。

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部屋から出ると会長サマが仁王立ちしていた。 普段とは違う私服姿にドキッとする…なんてことは全くない。奴は女の子じゃないからだ。 「待たせおって…さっさと行くぞ。」 「はいはい。」 「はい、は一回だ!」 「わかったわかった…なんかこのやり取りデジャヴみあるな…?」 だが、時刻は午前7時。 「…なんでこんなに早いんすか?」 「決まっているだろう。早く行かねば他の生徒に囲まれるからだ。」 「あー…はい。」 人気者っすねー…会長サマ。 「…行く先は決まってるんすか?」 「決まっているわけなかろう。俺は生徒会で忙しいんだ。もちろん貴様が決めているのだろう?」 「もちろんって…確信犯かよ…。まあ、予測してたが。」 「なかなか使える庶民だな。」 「もうちょい使い所考えて上手く使いましょうね会長サマ。」 ズケズケと物を言いながら学園の外に向かう。 校門前には、黒のピカピカのベンツが5台止まっていた。 うわすげー…何か今日学校でやってんのか? 一体誰が… 「乗るぞ。」 「お前かよ。」 流れるようにツッコミしてしまう。 いや、マジかお前。何?パレードでもやるの? 目立たない気ある? あまりに日常とはかけ離れた光景にぽかんとしていると、ふと1つの車から視線を感じた。 その車に視線を合わせると、見慣れたちびっ子と目が合った。 あれ…確か会長の… 「?なんだ?さっさと行くぞ。」 「あぁ、いや。どれに乗るんだ?」 「こっちだ。さっさと来い。」 ぐいぐいと強引に腕を引っ張られる。 いたいいたい。
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