3.鳩が鳴いたら馬鹿は笑うか。

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オレたちが乗った車はちびっ子の乗っていた車で、 車のドアが開いた途端、ちびっ子は嬉しそうな顔をしてオレに話しかけてきた。 「あ…こんにちは!てん…じゃなくて…たなっ…」 「こんにちは!オレは出雲!よろしくな!」 あっぶね…あっぶねぇえ… 天使も田中も今では禁句だ。 ちびっ子は、あれ?あれ?と困惑しているが、まあ仕方ないだろう。 ちょっと悪いことした気分になるな…これ…。 「おい、貴様。人の弟に気安いな…?」 「あははー。ほらほらお兄様が怒ってるから早く座ろうかー!」 「??は、はい…です。」 運転手のダンディなおじさまに挨拶をして車に乗り込むと、そのあまりの広さに絶句する。 …なにこれ広い…生活できる…。 「…それで、どこまで行くんだ?」 「と、とりあえず…駅まで…おねがいしゃっす…」 あまりの高級感に緊張して変な敬語になる。 シーツがふっかふか!すごい!(語彙力) キョロキョロと見回したり脚をそわつかせていると会長が呆れた顔で「ガキかお前は」と言ってきた。解せぬ。 …まあ、それはともかく、だ。 「なんでちびっ子がここに…?」 「ちびっ子じゃないです!だいすけです!」 「あー、はいはい。だいすけな。」 「はい、は一回です!」 「わかったわかった…、あ、これだデジャヴ。」 「でじゃ…?」 「いや、何でもない。」 「…大輔は小学校の登校だ。ついでだからここに寄ってもらった。」 こんな高級車でしかも結構な台数の登校って…浮くんじゃ…、あ、コイツら金持ちだったわ。 そういう小学校とかあるんだろうな多分。
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