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翌日、まだ誰も登校していない早朝。
大祥と体操着に着替えた先輩と共にとりあえずグラウンドに向かった。
先輩の体操着を借りたら足の短さとか体格の悪さとかが目立ってなんだか死にたくなってきたのは、ここだけの話だ。
「とりあえず、走ってみてください。フォームとか見るんで。」
「はい。ですが、笑わないでくださいね?」
「物によりますがとりあえず了解しました。」
足が遅いってだけで笑いが取れるのかは謎だ。
雪下先輩がグラウンドのトラックへと走っていく。
それを遠目に見ながら、隣でタイムを測る役の大祥がそっと口を開いた。
「…覚悟、しといた方がいいよ。」
その意味は分からなかったが、とりあえずでオレはスタートの合図をかけることにした。
「いちについて、よーい…」
先輩のクラウチングスタートの構えは完璧だ。
美術館に飾られた彫刻とかにありそうな感じの完璧さだった。
ダビデ像と円盤を投げる人像の間に置いても違和感ねえな。
……まあ、イケメンだからか!うん、本当に!腹立つなクソが!
「…スタート!」
恨みのこもったスタートサインが校庭に響いた——
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