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君
叶うなら。君をこの手で愛したい。
隣には俺より背が高くて、優しそうな笑顔で、君を幸せに満たしていく男がいる。
わかっていた。俺が選ばれないなんて。
君と同じミルクティーブラウンの髪、君はストレート俺は癖っ毛。
君と同じ若草色の目、君は青みがかってて俺は赤みがかってる。
「ミト? どうした」
「……なんでもない。続けて──んぁ、もっと! 」
「いいよ、ミト」
いつからか。知らない誰かに抱かれるようになった。
君はどんな風に喘ぐのか。
君はどんな風に乱れるのか。
君はどんな風に愛されるのか。
俺と同じ顔のくせに。
この思いは伝えることも、叶うこともないけれど。
この世で一番願ってる。
君の幸せを。
―――――――――――――――――
叶うなら。君をこの手で壊したい。
隣には僕より背が高くて、高そうなスーツを着て君の心を汚していく男がいる。
わかっている。僕の事が好きなこと。
君と同じミルクティーブラウンの髪、僕はストレート君は癖っ毛。
君と同じ若草色の目、君は赤みがかって僕は青みがかってる。
「ミオ?」
「なあーんでもないよ、」
いつからか。愛してもない人から抱かれるようになった。
君はどんな風に悶えるのか。
君はどんな風に叫ぶのか。
君はどんな風に愛されるのか。
僕と同じ顔なくせに。
この思いは伝えることも報われることもない。
この世で一番願ってる。
君の幸せを。
end.
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