月曜日

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 月曜日、人間達が会社や学校へ出かけていった午前08:40頃。 スーツのおじさんはカーテンの隙間から慎重に辺りを見渡し、誰もいないのを確認してから、そろりそろりと床へ降りた。 さあ、今日の探索を始めようかと伸びをしてテーブルの方を見ると、何やらその上で小さな人影が動いている。 ハラマキのおじさんだ。 ニヤニヤしながら、楽しそうに歩いている。 「どうしたんだよ、なんか良いことでもあったのか?」 スーツのおじさんは両手を口に添えて、遠くの彼に声をかけた。 ハラマキのおじさんは少し驚いてキョロキョロと周りを見渡したが、スーツのおじさんを見つけるとまた嬉しそうな顔になって答える。 「昨日よ、息子が奥さんに『テストはまだ返ってきてない』って言ってたのよ」 “息子“というのはこの家に住む少年のことで、“奥さん“というのは少年の母親のことだ。 ついでに奥さんの夫は“旦那“である。 3人とも大きな人間だ。 この家に住みついている小さなおじさん達は皆、彼らをそう呼んでいた。 声を張り上げながら話さないと聞こえないことに気づいたのか、ハラマキのおじさんはテーブル横の椅子を伝って降りてきた。 「よいしょ」 「でも俺絶対怪しいと思って、今朝息子が学校行った後に部屋を漁ったのね」 「そしたら、28点のテストがグシャグシャになって机の引き出しに入ってたのよ!」 ハラマキのおじさんの目は、宝物を見つけた子供のようにキラキラしていた。 「まさかそれ、出したんじゃねぇだろうな?」 スーツのおじさんはハラマキのおじさんとは長い付き合いで、仲が良い。 何となく彼の行動は予想できた。 「俺がそんなもん見つけて何もしないわけねぇだろ!奥さんの目につくようにちょっと紙を広げてドアの隙間に挟んどいたよ」 「やめとけ、怪しまれるぞ」 「大丈夫だよ、風で飛ばされてきたみたいな演出しといたから」 身振り手振りを交え、ハラマキのおじさんはウキウキと説明する。 母親が子供の隠したものを見つけてしまう事はよくあるが、それはしばしば小さなおじさんのいたずらが原因となる。 この家では、そのほとんどはハラマキのおじさんの仕業だった。 「これから息子、恥ずかしい本とか、カノジョとのぷりくらとか隠すようになんだろうな」 「やめてやれよ…」 ハラマキのおじさんはいたずら好きである。 もう見慣れたとはいえ、真面目なスーツのおじさんは時々呆れてしまう。 しかし、10年ほど前、こんなことがあった。
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