9人が本棚に入れています
本棚に追加
肩に突っ張った英介の腕が、ガクガクと震えているのが分かる。熱い息を吐く口元から、唾液が糸を引く。
「やめ、や…っあ、でる……でちゃ、ンんっ」
高い声が上がる寸前、口を塞いで息を飲み込む。手の中で膨張する熱を、勢い良く擦りあげる。
支えている身体の痙攣が大きくなり、先端に指を押し当てると、手の中に熱い白濁が迸った。
「あっ……あ」
ぐったりと凭れてくる体重を受け止めながら、溢れ出る精液を指で拭う。
しっとりと蒸気した肩口に吸い付くと、噎せ返るような匂いが立ち上った。腹の奥が痛痒いように疼く。
「なぁ……英介」
呼び掛けて顔を覗き込むと、可愛い恋人は寝息を立てていた。
流石に、寝ている英介を襲うほど欲求不満ではない。果ててこそいないが、英介のあんな姿が見られたお陰で、むしろ満ちすぎるほど満たされている。
それでもやはり物足りなさはあり、良吾は仕方ないとため息をついて、膝に乗せていた英介を抱えあげた。
立ち上がりながら、なんとかズボンを引き上げる。
「にしても、流石にやり過ぎたなぁ…」
英介をベッドに入れてリビングに戻りながら、良吾はわしわしと髪をかき混ぜた。
真っ赤になって怒る英介を、どう宥めたものか。
ソファの周りを片付けながら、良吾はあれこれと考えを巡らせた。しかし、いつの間にか思考は逸れ……。
「けど、最近目に見えてエロさが増してんだよな。英介」
汗ばんだ金髪と、切羽詰まった懇願。
自然と口許が緩むのを止められない。英介の表情を思い出すだけでも、暫く想像のネタには困らなそうだ。
「可愛いよなぁ」
誰にも見せられないニヤケ顔で、良吾はグラスに残ったぬるいビールを、一息に飲み干した。
(おわり)
最初のコメントを投稿しよう!