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表紙に半裸の男。スーツに褌という、風情のある格好をしている。
「つまり。私の想像通りで良いのかな、これは」
声に笑いが混じるのが分かり、藤枝はそっとマットの上に正座した。
その雑誌は、実際は藤枝のものではなく、多分この教室の常連だった先輩がふざけて置いていったものだ。しかし、読んでいたのは確かだ。興味に勝てなかった。
「興味は止めないけど、学校で読むのはダメだよね。しかも授業サボってまで」
「はい……」
「それに、こんなもん読んでたって、藤枝くんの興味は満たされない」
「は、え?」
「現場体験、しようか」
にこりと笑う栄川に、藤枝は正座のまま後ずさった。栄川が雑誌を置いた時、たまたま開かれたページには、絡み合う半裸の男達。
「んんー?ちょーっと藤枝話が見えな、嘘ごめんなさい無言で脱がさないで!!!」
「大きい声出さない」
「んっ!??」
背中が壁にぶつかる。今しているのがキスなら、藤枝が今までしてきたのはなんだったんだろう。甘酸っぱい初めてや青臭い思い出は、マシュマロとの衝突事故だったのかもしれない。
「っ……う、わ……」
離れていく唇を目で追ってしまい、藤枝は慌てて栄川の腕を抑えた。キスに震える手はなんの役にも立たず、学校指定とは違う派手なベルトが外される。
「ちょ、ストップ!待って、俺ちがう、からっ」
「違うって、何が?」
「ひ、あっ、ムリ!むりっ、センセ、ちょっ」
スラックスのホックが外され、ジッパーを下ろされる。押さえようと思えば出来るはずだが、藤枝にはアワアワと見ていることしか出来ない。
どうにか距離を取ろうともがくが、かかとの潰れた上履きがマットを蹴るだけだった。
「若いねぇ」
「人のちんこ見て笑わないで貰えます?!」
笑う肩を押し返すが、その隙に入りこんできた身体で膝が閉じられない。パンツ越しに暖かい手が触れ、ビクリと身体が跳ねる。同時に、力が抜けるような感覚に襲われた。
「布越しでも、結構良いでしょ」
「うーっ……はれんち……」
壁に頭を凭れ、荒い息を吐き出す。首筋を舌が這い、ゾクゾクと肌が泡立った。しがみつきそうになるのを、必死に堪える。
「そう我慢されると、火がついちゃうな」
「へ?え、いや、いやいやいやいや!!??」
手が離れ安心したのも束の間、知らないシャンプーの香りがぐっと近付く。正確には、先生の顔と自分の……。
「ちょ、うぇいつ!それは流石に、え、どゆこと?」
「されたことある?」
「して貰いたいという願望は人一倍あると自負してますけど!それは巨乳のお姉さんにであ、っ……て、ぅああ」
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