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冷たくなった指先で顔に触れると、そっと口付けられる。温かく柔らかい感触が、暗い映像をかき消してくれる。
息をつくのに離れようとする下唇に吸い付いて、リョーゴは次のキスをねだった。
「いっぱい、する?」
「んっ、あ……して、ほしい……頼む」
深く浅くキスを繰り返しながら、ラグウェルの掌が身体を撫でる。
細い指が襟足を掻き分け、首筋を辿って胸元をくすぐると、リョーゴの身体は熱を放たれて薄らと汗ばんだ。
「リョーゴ、かわいい」
「かわいい、言うな……ぅ、あっ」
乳輪をつつかれ、中心がぷっくりと立ち上がる。そこをスリスリと指で擦られると、むず痒いような感覚でリョーゴは小さく声を上げた。
つい最近まで、自分がそんな所を弄られて感じるなんて、少しも知らなかった。ラグウェルと出会って、どれだけ新しい経験をしたか知れない。
「勃ってるね」
「言われなくても分かってる……」
その多くを“そういうこと”が占めていて、こうして恥ずかしげもなく口にするラグウェルに、リョーゴは毎回、顔を赤くする羽目になっていた。
「照れなくて良いのに。ちゃんと気持ち良いってことだもん。嬉しいな」
「お前、それわざとじゃないだろうな…くっ……あ!」
下腹を撫でていた指が、熱を持ったペニスに絡みついてゆるゆると刺激する。
リョーゴは鼻先をラグウェルの首筋に押し付けて、熱い息を吐いた。青リンゴに似た微かに甘い香りが鼻腔をくすぐり、身体が快感を追い始める。
「かわいい…ね、もっと気持ちよくなって」
「う、んっンあっ……そんな、強くするなっ」
先端から零れる先走りと、その奥から溢れたものが、内腿を伝ってシーツを濡らす。
リョーゴは、自分だけが真っ裸で出来上がっていることに気付いて、急に羞恥心を覚えた。腕を伸ばしてシーツを取ろうとするが、与えられる刺激に気を取られて上手く力が入らない。
「リョーゴ。上、向ける?」
「ん、上……?」
「うん、そ……ちょっと腰上げて」
起き上がったラグウェルに肩を押され、体勢を変えた。中途半端な快感に朦朧とした頭で、言われるままに腰を浮かせると、脚を引き寄せられ、太腿がラグウェルの膝に乗り上げる。
そうなってしまってから、改めて取らされた格好を見て、リョーゴは顔を発火させた。
「ラグっ、これ」
「よし、これでよく見えるぞ」
「待て!全然よくない!」
「だって、寝っ転がってたら上手く動かせないんだよ」
至って真面目な顔付きで卑猥な手つきをしてみせる天使に、リョーゴは手で顔を覆った。
天使と聞いたら清純で無垢なんだろうと勝手に思っていたが、その考えは間違えだったと日々痛感している。
イメージに囚われてはいけないという、典型的な例だ。
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