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泥のような倦怠感と眠気に包まれて、ラグウェルとリョーゴは1つのベッドに横たわっていた。
「今寝たら、チェックアウトに遅れちゃいそう」
「別に大丈夫だろ、金は多めに払ってあるし。あの受付が、時間ピッタリにドアをノックするとも思えない」
「それもそうか…」
ラグウェルの腕に頭を落ち着けると、髪を撫でられる。目を開けると向こうをこちらを見ていて、お互いに見つめ合う形になった。
「……ありがとな」
「なにが?」
「何、てか……いろいろ、な」
「えっち、良かった?」
「っ、お前…またそうやってなぁ!」
「良くなかった……?」
「ぁあ!もうっ良かったよ!これで満足か?!」
「うん、満足」
心底嬉しそうに笑うラグウェルに、リョーゴは喜んでいいやら憎らしいやらでよく分からない顔をする。それでも何もしないのも尺で、柔らかい頬を指で摘んだ。ラグウェルは「痛いよ~」と言いながら、さっぱり抵抗してこない。
「お前やっぱり天使っぽくないよなぁ」
「またその話?だからリョーゴがどう思うかってだけで良いんだって。リョーゴだって大きな括りは人間だけど、他の人間と全く同じな訳じゃないでしょ?……まぁ、俺は特例かもしれないけど」
「…なんか良い話っぽかったのが一気にきな臭くなったぞ」
「あー気のせい気のせい」
軽く笑うラグウェルにため息をついて、リョーゴは仰向けに寝返りを打った。すかさず、ラグウェルが胸に頭を預けてくる。
「とにかく、俺はリョーゴの初めて貰って嬉しかったから、それで良いんだよ」
「おい、オチみたいにサラッと扱うなよ。俺の大事なヴァージンを」
「んふ、ごめんごめん。でもホントに嬉しかったよ」
そういって優しく口付けられ、2人はしばらくキスを繰り返すと、束の間の眠りに落ちた。
(おわり)
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