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「やあママ、ありがとう、素晴らしかったよ」
「ふふっ、こいつら忘れようにも忘れられなくなったでしょ? だって、ただの人間のくせにあたし達に喧嘩売るんですものね」
「おいおい、私達もいちおう、『ただの人間』の設定だぞ、今は」
「…あー、ははっ、そうだったねー」
「忘れないでくれよ、…ふふふっ、でも、最後の土下座シーンは最高だったな」
「頭蓋骨見えるまで頭を地べたにこすりつけろ、って言ったらその通りにするんだもん、可愛い―ッ」
「しかし、さっきのママの艶姿、最高だったなあ、ふっ、ブイブイいわせてた頃の全盛期のママ、一目見たかったよ」
「うふふ、昔のあたしはこんなものじゃなかったわよ」
バチーン、とウインクを送る。
「そこいらの男だったらさあ、ひと睨みしただけで、身体から出せるもの全て出したあげく昇天したんだからさっ」
「ふふ、地獄に行ったか天国行きか、幸せ者だな、その男は…」
「で、ママ、俺も…」
ふ、と視線を逸らす。
「で、あなたもこれで目的達成なの?」
「…あ、ああそうだな、昔なら大きな団体が睨みを利かせていて、その親玉を押さえておけば無法者は管理しやすかったんだが…」
大きなため息をつく。
「世の中、変わったってヤツかしら?」
「最近は中小のチンピラ団体が、いくら潰しても湧いてきて、イタチごっこでイライラしてたのさ」
「で、一発ガツーンッ、とやりたかったわけね」
「ああ、ママのおかげでスッキリしたよ、ありがとう」
出された手を無視するように身体を引き、
しかしまた背後から抱きつく。
「で、前からお願いしてた『アレ』、いえ今は『コレ』かしら、ねえ、いいでしょ?」
首を振り、苦笑いの男。
「ああ、今回手に入った活きのいい魂と肉体、みんなママに任せるよ」
「わーい、やったー!!」
「ああ、でもほどほどにしてくれよ、『上』からにらまれたくないからな」
「だーいじょうぶだって、控えめにするわよ、うふ、たぶん…」
「ふふっ、ママのその『たぶん』、ゾクゾクするな」
伸ばす男の手を、無視するように、彼女は両手を組む。
「うふふっ、『リアル薄い本』が十分楽しめそうっ。あいつとアイツでBLして…、あっ、そうだっ!
ねえっ、女体化しちゃったイケメン二人が、『男同士』だけど「レズ」になっちゃうなんて面白いんじゃない? おほほっ、興奮するわあ!」
肩をすくめるしかない男。
「そうか、まあ、がんばってくれ…」
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