I Scream

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I Scream

 強い北風が木を揺らすぐらいに吹き荒び、空気が冷たく体も芯から冷えるほどの寒い日の話である。 少年は頭をボリボリと掻いていた。何のことはない、髪の毛が少し伸びて違和感を覚えていただけの話である。それを見かねた少年の母親は財布から1000円札を取り出して少年に渡した。 「ちょっと髪伸びてきたんじゃない? 散髪行ってきなさい」 少年は1000円札を受け取りつつも鬱陶しそうな顔をした。 「一ヶ月前に切ったばかりだよ」 「でも、伸びてるじゃない」 少年はいつも床屋に「全体的に梳いて下さい」と言っている。全体的に整えるように梳くだけでは髪の量が減るだけで長さは余り変わらない。それ故に元の髪型に戻るのも早い。 「はいはい、じゃあ行ってくるよ」 すると、少年の母親は思い出したように言い出した。 「アンタ、いつもの(トコ)行くの?」 「うん、千円カット。十分で終わるし」 「あそこ、潰れたわよ。消費税増税で1100円にするぐらいならって店の大将が実家に帰ったのよ」 「100円ぐらい誤差なのに。この辺、千円カット無いよね?」 「無いわね」と、言いながら少年の母親はもう一枚1000円を差し出した。 「仕方ないわね。たまにはシャンプーや眉毛剃りとかフルサービスで受けてきなさい。少し歩くけど国道沿いに床屋さんあるから行ってきなさい。おつりは上げるわ。どうせジュースぐらいしか買えないでしょ」 何でこんなにクソ寒い中床屋に行かなきゃいけないんだ。少年は渋々ながら床屋に向かって歩き始めるのだった。
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