第一章・―異世界の治安は果たして良いのか―

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「嘘……だろ……」  何か光ったと思った瞬間、見知らぬ景色の中に放り出されて、オウサマからマオウトウバツを言い渡されてしまった。  当然の事ながら、着の身着のままの格好で、ろくな装備もない。  武器はそこらに落ちていた、木の枝。  ……。  いや。  まぁ。……どっちかっつーと、悪いのって、オウサマじゃね?  あれがマジに隠しルートで、この世界の真実なら、俺はオウサマよりマオウに加勢したい。  ……向こうには向こうの言い分とか、あるんだなって思ったし。 「どうしよ……?」  取り敢えず、本当かどうかを確かめる必要がある。  マオウの例から考えて、元の世界には帰れそうにないし、まずは出来る事から始めよう。  よし。景色的に、この辺に最初の村があった筈だな。  しばらく草原の中を歩いて行くと、すぐに村が見えてきた。  確か、ゲーム内ならマオウの支配下にあった筈だ。  躊躇する事なく村に入ると、最初の村人が話しかけてきた。 「旅のお方ですか?」 「あ、はい」  頷くと、村人が笑顔になる。 「ようこそお越し下さいました。ここはチコリ村です」  マオウの支配下にある村だというのに、全然悲壮感とかがないよな。  やっぱり、あのゲームは本当だったのかな。
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