第一章・―異世界の治安は果たして良いのか―

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 内心で焦りはしているが、嘘は言ってないからな! 「あぁ。そうでしたか。旅のお方が最初に立ち寄って下さるのが、この村ですからね」  苦し紛れの咄嗟に出た台詞ではあったが、あながち間違えてもいなかったらしく、理に叶った様子で素直に村人は相槌を打ってくれた。  あ、命拾いした。目茶苦茶嬉しい。ありがとうございます、俺の咄嗟の機転。 「そうなんですか」  まさか異世界からいきなり飛ばされてきた、この妙なゲームの元プレイヤーと言う訳にもいかず、仕方なく、ここのシステムというか、形式的な流れを初めて知ったみたいに話を合わせる。  すると村人には、今までのような、優しげな表情が戻ってきた。  やっぱりこれで良かったみたいだ。  オウサマよりもマオウへの評価が高いこのセカイで、下手にユウシャだという事が知れてしまえば、どんな酷い目に遭わされるか分からない。  ここは一つ、適度にレベルが上がるまで耐えるしかないな。  よし、そうと決まれば、武器と防具を手に入れるため、地道に資金集めでもするか。
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