第一章・―異世界の治安は果たして良いのか―

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 マップを調べる。  マオウの城は、目視出来るから近いように思えるけれども、実は遠いんだよな。  城が大きいから、近く見えるだけなんだよ、あれ。  どうしようかな。  ここから徒歩で行きがてら、もう少しレベルアップして、一番城に近い町で色々と揃えるか。  他に馬とか、色々移動手段はあるけど、別に急ぐ旅でもなし、今のところそれが最善だよな。  よし。  歩きでもなるべく最短距離になるよう、野を越え山を越え、時には川を泳いだり。  たまに、疲れた夜は焚き火を前に休んだりもして、何日か過ぎた頃……。  ようやく城が目の前(そび)え立つ。  普通のRPGとかじゃ、禍々しい空気とかが辺りに蔓延しているけども、この城はそれどころか、綺麗な青空が広がる。  しかも、一面お花畑なのだ。  ……王城に近い土地の方が、よっぽど空気が悪いし天気も悪いし、何ならとどめに禍々しいぞ。  まぁ良い。とにかく入ろう。  武器とか要らないだろうけど、置いて行くのは心許ないから、装備したまま行くぞ。  何とかマオウのところにまで辿り着いて、話さえ出来れば良いんだけどな。  単身マオウ城に乗り込んで行く様は、そこだけ見れば本当にユウシャのようだ。  だけど、俺は多分、これから本来のユウシャとは、真逆の事をしに行くんだよな。  果たして上手くいくかは、これはもう、一か八かの賭けなんだが、オウサマの方が悪いっぽい以上、セカイを元に戻すのが、ユウシャの使命ってもんだろ。
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