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マオウの城は、目視出来るから近いように思えるけれども、実は遠いんだよな。
城が大きいから、近く見えるだけなんだよ、あれ。
どうしようかな。
ここから徒歩で行きがてら、もう少しレベルアップして、一番城に近い町で色々と揃えるか。
他に馬とか、色々移動手段はあるけど、別に急ぐ旅でもなし、今のところそれが最善だよな。
よし。
歩きでもなるべく最短距離になるよう、野を越え山を越え、時には川を泳いだり。
たまに、疲れた夜は焚き火を前に休んだりもして、何日か過ぎた頃……。
ようやく城が目の前聳え立つ。
普通のRPGとかじゃ、禍々しい空気とかが辺りに蔓延しているけども、この城はそれどころか、綺麗な青空が広がる。
しかも、一面お花畑なのだ。
……王城に近い土地の方が、よっぽど空気が悪いし天気も悪いし、何ならとどめに禍々しいぞ。
まぁ良い。とにかく入ろう。
武器とか要らないだろうけど、置いて行くのは心許ないから、装備したまま行くぞ。
何とかマオウのところにまで辿り着いて、話さえ出来れば良いんだけどな。
単身マオウ城に乗り込んで行く様は、そこだけ見れば本当にユウシャのようだ。
だけど、俺は多分、これから本来のユウシャとは、真逆の事をしに行くんだよな。
果たして上手くいくかは、これはもう、一か八かの賭けなんだが、オウサマの方が悪いっぽい以上、セカイを元に戻すのが、ユウシャの使命ってもんだろ。
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