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「良いだろう。こい」
何を考えたのか知らないが、取り敢えず戦闘に入る意思はないという事を汲んでくれたようで、半信半疑な表情ながらも、ついてくるように指示される。
「分かった。ありがとう」
今はこいつを信じるしかない訳だから、素直に礼を言ってついて行く。
大体、俺だってレベルが四桁に突入しそうな矢先ではあれど、既に随分前にレベルカンストして、まだ更に高みを目指しているマオウになんて、逆さまになったって敵う訳がない。
そこは重々承知の上で、話にきたんだから、罠にかけようとかでなく、普通に案内してもらえるよな。
「お前、本当にユウシャなのか?」
歩く道すがら、黙ったままなのも手持ち無沙汰なのか、振り返りもせず聞いてきた。
「あ、あぁ。一応は」
そう言って、既に手に入れておいた、伝説の剣である、タイマのケンを見せてやる。
これは、対マオウ用の聖剣で、城に棲むと言われる強敵達にのみ効果を発揮するものだ。
一応、ここにくる前に、問答無用で攻撃されそうになった時のために、探しておいたんだよな。
持ってて良かった、伝説の剣。
「もうすぐ着く。ユウシャよ、くれぐれも、マオウ様に粗相のないようにな」
大層な扉の前で振り返り、そう告げる様は実に威厳がある。
ぶっちゃけオウサマより目茶苦茶威厳がある。
「ありがとう」
「待て。まず、私が開けよう。単身乗り込めば、先程のような誤解をされかねない」
ありがとう。目茶苦茶協力的。これで話も、いくらかスムーズに進むってもんだ。
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