残酷な結末

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「どっか行きたいとこある?」 「えっ!僕?由衣くんに付き合うつもりできたから全然考えてなかった」 どこか行きたいところがあるのかと思っていたがそうじゃないらしい。 由衣が昨日実家に帰っていた為、学校近くの最寄りで待ち合わせしてブラブラ歩いていたが目的地は特になかったみたいだ。 「あ、行きたいところはないんだけど…聞きたいことはある!」 克也を置いてきたのは勿論由衣が裕也にしか声をかけなかったというのもあるがもう一つは克也のいない時に由衣と話したかったからだ。 「あ!わかった!」 閃いた顔をする由衣に本当に分かったのか?と首を傾げる。 「誕生日でしょ!克也の!!」 さすが、というべきかもうすぐ克也の誕生日なことは知っていたらしい。 「そう。盛大なパーティーが開かれるみたいだし、欲しいものはないみたいだし、何にするか迷ってて…」 「そーだよねー、欲しいものは手に入るしねー」 ずっと考えているが全然思いつかないのだ。 克也の実家も寮の部屋も高そうなものが沢山あったし、何か欲しいという話を克也から聞いたことがない。 誕生日に貰ってから着け続けてる首輪は裕也の宝物だから克也にもそう思ってもらえるようなものをあげたい。 「僕は分かるけどねー!克也のどーしても欲しいもの!!」 「なにっ?」 由衣に分かって自分に分からないことにモヤッとする部分もあるがそんなことを気にしている場合じゃない。 「克也の欲しいものなんてひとつじゃん」 もったいつけてなかなか教えてくれない由衣を肩を掴んで揺らす。 「教えてよー、昨日も街に出たけどピンとくるものは無かったし…本当に困ってんの!」 どうしようかなー、とニヤニヤしながら裕也を見る。 「裕也くんにも言ってると思うけどね」 だから分からないんだって!! 言われてたらさすがに覚えているはずだ。 なかなか教えてくれない由衣に拗ねたように口を尖らせると笑われる。 「帰りに教えてあげるよ!」 本当は今すぐ聞きたいところだが教えてくれそうもないので帰りまで待つことにする。 「由衣くんも何かあったんじゃないの?」 「バレてた?」 克也が裕也を離したがらないから由衣と会う時は基本的に三人で会うことが多く、二人で会うことは少ない。 そんな由衣から二人で会いたいと言われれば誰だって何かあったんじゃないか、と考える。 「うん、でも僕友達いなかったし力になれるかわかんないよ」 「いいのいいの!聞いて欲しいの!」 聞くぐらいなら裕也にも出来る。というか本当にそれくらいしか出来ない。 「じゃあ、どっか入ろうよ」 「そうだね!!うーん、どこがいいかな……あそこは?」 キョロキョロした後に由衣が指を指したのは、大通りから曲がったところに看板だけ見えるカフェだった。 人も少なそうだし、ちょうど良さそうだと頷く。
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