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「あつい…重い……」
克也の腕の中で目を覚ます。
裕也の頭上から寝息が聞こえるので珍しいことにまだ眠っているみたいだ。
寝顔が見たくてモゾモゾと動き頭を腕の中から出すとそこには見た事ないほど無防備な顔をした克也がいる。
平日も裕也より起きているのが早いし土日に関しては殆ど仕事があって裕也が起きた時にはもういない事が多い。
だから克也の寝顔を見れるのは貴重だ。
「………、可愛い…」
可愛すぎる!!!
普段から克也をかっこいいと思うことは多々あるがあまり可愛いと思うことは無い。
この貴重な克也を堪能しなくては!とジッと食い入るように見つめた後、頬に手を置き優しく撫でてみたりサラサラの髪に指を通してみたり軽いキスをしてみたり。
されるがままの克也に楽しくなってくる。
「……フフッ、………好きだなぁ…」
大好きだ。
ずっとこうやって一緒に過ごしていたい。
「それは起きてる時に言ってほしいな」
ボッーと見ていると克也の目がパチっと開く。
「なっ、おきっ、」
克也がどこから起きていたのか分からないが今自分がやっていたことを思い出して顔に熱が集まってくる。
恥ずかしい!!
隠れるように寝ていた時の位置までモゾモゾと戻っていき克也の胸に顔を埋める。
「ククッ、なかなか言ってくれないのは俺が寝てる時に言ってたからか?」
「……克也が僕より寝ていることなんてないでしょ、」
分かってて言ってるんだ!
意地が悪い!!
克也は柔らかい笑い声を漏らしながら裕也のふわふわの髪の毛を撫でる。
「はっーーー」
長く息が吐かれた後、裕也を包んでいた腕に力がはいる。
力強く抱きしめられると絶対離さないと言われているようで安心する。
「幸せだ」
それはポツリと克也の口から出てきた言葉。
小さい声で克也にしては珍しく心の声がつい漏れたという感じだった。
その瞬間、裕也は無性に泣きたくなった。
克也が裕也と同じ時に同じことを思っていることが、そして裕也といることで克也がそう感じていることがもの凄く嬉しかったから。
ずっと自分がいることが周りを不幸にしてると思っていた裕也を克也はこうやって拾っていってくれる。
そんな克也から離れてしまったら自分はどうやって生きていくのだろう。
絶対に離れたくない。
その為には向き合わなきゃいけない。
ずっと一緒にいてもらう為に。
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