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とりあえずこの教室は人が多い分、僕が気づいても向こうは僕が運命だと気づかないはずだ。
マスクもしてるし、眼鏡もかけてる、ウィッグで髪も黒で目立っていない。
祐也は前から入ってきた生徒会に気づかれないよう教室のドアをそっと開けて廊下に出た。
走ってその場から離れるが思わず立ち止まってしまう。
「クソっ、なんで生徒会長が1年の集まりに来るんだ!」
須藤もあの香りに気づいているならとりあえず1年の中にいるのは気づいたはずだ。
絞り込まれないようにしないといけない。
初めの出席確認の時には自分はいたし、確認してもわからないはず。
必死になって考える。
そもそも、校内投票で圧倒的な票を獲得して生徒会長になり日本屈指の須藤財閥の跡取りの須藤はαからΩまでほとんどの人の中から選びたい放題なのにわざわざ運命を探すか?探さないよな??探さないでくれ!!!!!
今はただ気づかれていないことを願うしかない。
この時、祐也は逃げる事に必死で気づいてなかったのだ。
教室から出ていく祐也を須藤が見ていたことも、出ていった瞬間甘い香りが無くなったことに気づいたことも。
そして須藤の口角が上がったことも。
「いい暇つぶしになりそうだ。」
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