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そっと足元を見るとわたしにそっくりな顔がそこにあった。鏡のように見えるそれは水面で、横にわたしを覗き込むようにして見ている彼女の姿も映っていた。
大きな水たまりだ。そう思っていると、これは水たまりじゃない塩湖だと彼女が教えてくれた。以前、初めて海を見た時に同じことを思った。そんなわたしに彼女は同じことを言ったことがある。わたしにとって湖も海も大きな水たまりに変わりない。それくらい些細なことだ。
ここはボリビアという国のウユニ塩湖という所らしく、塩湖と名が付いているが湖ではない。どこまでも続く鏡の世界は果てがないように見えて、足元に映る波紋がわたしの顔を歪めていた。ずいぶん遠い所らしい。わたしたちが住んでいる街からずっとずーっと遠い場所らしい。
らしいというのは、わたしはここに来るまで微睡みの中にいて、目が覚めた頃にはここにいたからだ。わたしをここに連れてきた彼女は、ここに来るまで結構長かったとボヤいていたが、そんなことわたしには関係ない。欠伸を一つすると、同じく水面のわたしも大きな口を開けていた。
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