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「なんだよ、あいつ。骨抜きにされてんだな」
「「骨抜き?」」
中野の言葉に董子は驚き、笑子は目を輝かせる。
「一緒に住むって話しを聞いた時も思ったけど、かなりメロメロなんだなって今の話し聞いてよりわかったよ」
これはお仕置き案件なんじゃないか。
今更ながら董子はぞっとする。
前の恋愛をしている佐古を知らない董子はそれが通常の佐古だと思ったのだ。
「あ、あの、佐古さんには黙ってて貰えますか…」
言いづらそうにお願いする董子に中野が大丈夫だよと笑う。
「あいつを揶揄っても面白くも楽しくもないから言わないよ」
ほっと息を吐く董子の横で笑子がもじもじと身体を揺らす。
「え〜〜〜どこまでも揶揄って弄って照れさせたい〜〜〜」
「止めて……」
「S属性の佐古と笑子ちゃんは相性良くないんじゃない?」
「打ち負かす自信がある!」
無い胸を張る笑子の額をぴたんと叩いて董子がやめなさいと否した。
「前の佐古さんてどんなだったか、中野さん知らないんですか?」
笑子が中野にそう聞いた時、重たいドアがギィと開く音がし、全員が入り口を向いた。
「やっぱここか」
「佐古さん!」
予想していなかった人物の登場に董子が立ち上がる。
ずかずかと董子の側まで来た佐古が董子の額をピンと人差し指で弾く。
「お前、携帯見ろよ」
「え、ごめんなさい」
慌てて携帯を見ようとする董子の手を佐古が止める。
「ここで見んな」
その声はどこか照れているよう。
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