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その3
すらりとした長身と少し明るい茶色をした猫っけの髪。メガネは黒ぶちで少し大きめ。そういうところまで似ているのか、と少しだけ思う。書く文字の印象そのままの、すらっとした体躯。ああ、よく似ている。
「お久しぶり、かな?」
「はい。お久しぶりです」
言葉遣いの丁寧さに距離を感じて、私はちょっと笑った。何年振りだろう。彼に会うのは。きー兄ちゃんと会わなくなって、それから全然音沙汰なしで過ごしていたから、実に十五年ぶりといったところだろうか。
「正輝くん」
名前を呼ぶと彼は緊張した面持ちから一転はにかんだような笑みを浮かべた。ギャップに少し驚いたが、その笑顔に安堵したのも本音だ。あの写真にうつっていた時と変わらない幼い笑顔。
「すいません。突然手紙なんて」
「私の方こそ、全然連絡とってなくてごめんね。まさか、きー兄ちゃんがそんなことになってるなんて、思ってもいなくて」
「俺も突然で、どうしたらいいか分からないなりに手続きをして、ひと段落した時に父さんのタンスの中から、あの写真を見つけたんです」
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