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序
星影市。
北海道南西部に位置する平凡な街である。
二万数千の人々が暮らすこの街の売りは、見上げた空の美しさだ。星巡る街、星降る郷などと呼ばれることもあり、大きな望遠鏡を抱える市立科学館は天文ファンの間でしばしば話題に上がるという。市外だけではなく、道外からも訪れる人がいるそうだ。
空一杯に広がる星を堪能したいのならば、市街地からやや離れたブナ林地帯もおすすめだ。畑とブナが広がる一帯で、草の上に寝転がって星を見るのもまた一興であろう。
……私? ああ、好きだとも。
……好きですよ、この街が。
私にとってここで過ごした時間はほんの僅かなものかもしれませんが、それでも、とても大切だと思えるのです。
この街のこと、気に入っていただけると嬉しいです。
これは誰かが見た景色。
星の巡る街が歌う長い歌の、ほんの一節。
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